背振山の麓の筑紫郡那珂川町の旧街道沿いに築100年の古い旅館がありました。

取り壊す予定なので1年以内しか居られない条件で借りる事が出来る話があり、 都市から離れて郡部に
住むのは初めてで自然への憧れがあって移転しました。

2階が8畳の4部屋で真中に廊下があり、ふすまを取りはらったら大きな広間になるので、
昔はここで結婚式などの行事ごとが行われたようです

不動産賃貸契約が終わり中に入ったらホコリがいっぱいでした。
掃除機で埃をとったら袋が5.6個が いっぱいになり赤ランプが点灯しました。

3日かかった大掃除が終わった後、黒光りする太い大黒柱や床を磨いて落ち着きました。

古い木造家屋に洋式の事務デスクと&パソコンを配置すると エキゾチックで良い雰囲気の仕事場になりました。

古い建物は好きなので購入するつもりで電気工事も行い最終検討に入っていました。
不動産屋は取り壊しの手間が省けるので乗り気でしたが家主さんが嫌がっている風に感じたので出て行くことに決定。

春になると、移転先を探し始めました。
初夏に東区に良さそうな家が見つかり、出て行くと直ぐに重機が入って古い建物の撤去があったようです。
今は更地になっていて建物の痕跡はありません。

12月後半から6月までの短い半年でしたが 雪や春の恵みを満喫できました。

野生の猿が近所の畑の玉ねぎを齧っていたり、蛍が部屋の中に飛んできたり、
初めての田舎の生活は新鮮で素敵でした。

写真は写真集「郷土なかがわ」:昭和59年7月発行から引用

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